第13回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2021
- 自主制作部門テーマ「INVISIBLE」について -
現在作品を募集している、2021年夏に開催予定の「第13回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2021」。今回の自主制作部門(B部門・U30+Student)のテーマは「INVISIBLE」です。
ここでは、実行委員や審査員の方による「INVISIBLE」をテーマとしたポスターをご紹介します。
公募締切:2021年2月28日(日)まで
「INVISIBLE」について
この世界は、目に見えないもの「INVISIBLE」に満ちています。
思いもよらない災害、パンデミック、原発事故、政治的分断による憎しみの増幅、気候変動といった見えない脅威。今では不可欠となったデジタルの世界もまた、その仕組みは容易には見えません。
また、誰かの心の中や母体に宿った生命など、見えないゆえに大切な存在もあるはずです。
2020年という今を共有するなかで、あなたが「目に見えないけれど、可視化して伝えたいこと」は何でしょうか。
「INVISIBLE」のテーマのもと、ポスターでIPT2021という場に伝えてください。
実行委員や審査員の方による「INVISIBLE」ポスター ※新しい作品も追加予定です。
【佐藤 卓 IPT2021 実行委員・審査員】
ウイルスは目に見えない恐怖である。ウイルスに自覚はないが、世界中の人にそう思わせた。
見えるものしか信じない。このような意識が、目に見えない分からないものを拒否する思考に繋がっていくように思う。
都合がいい時は、目に見えないもの、例えば愛を必要とし、都合が悪いとそれに慄く。
人は実に勝手である。目にみえないもの、分からないものがどれだけ人の感受性を豊かにしてきたか。この機会に考えてもいいのではないか。
そんなことを思いながら、このポスターを制作した。
【松永 真 IPT2021 審査員】
これは、今、目の前にあって、我々人類を混乱させ、翻弄する新型コロナウイルスのCであると同時に、人類が今まで繰り返してきた“戦争”という愚行に対するCryのCである。
人類最大の残虐と、人類最大の悲劇が、こうも簡単に繰り返されてきたことへの限りない怒りと悲しみのCである。月面に立つことさえ実現出来た人類が、何故“平和”という最も平凡な営為を持ち続けることが出来ないのか謎である。
今、人類にとって、最も見えないもののシンボルとして、得体の知れない怪しい嘆きのCを表してみた。INVISIBLE。
【三木 健 IPT2021 実行委員・審査員】
他の者の様子や姿に似せることを『擬態』という。
動物が攻撃や自衛のために、体の色や形などを周囲の物や動植物などに似せる行為だ。
自然の摂理が生み出した生きるためのカモフラージュとも言える。
情報をコピー(複写)してペースト(転写)を繰り返す社会を『情報の擬態』と捉えてみる。
真実が何なのかが分からなくなってしまう。
見えなくすることは消すことだけではない。
『情報の擬態』が増殖し始めると、真実を見えなくさせる。
さらに増殖が進むと、あたかも真実であるかのような社会が生まれてしまう。